鈴宮ハルヒエンディング「ハレ晴レユカイ」映像とセルシェーディング

ほんとはもっと速く書く予定で、正直もはや元記事さえ思い出せない状態なのですが、いそがし過ぎてかなりの遅れ。まあいいか。最近最新のCG事情知らないので、書いてあることが間違っている可能性もあります。



アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」を見たのですが、きっかけはどこかで見たエンディングの画像が3DCGのセルシェーディングだと勘違いして本当は違ったとかいう話を見たからです。見た結果は、画像もきれいだし、そこそこ良く動く普通の2Dアニメ以外に見えないなあ、というものでした。で、結構セルシェーディングに対して過大評価している人が多いのか、と思ったのです。はっきりいって現状、日本産アニメの人物表現に、セルシェーディングは使えない。

3DCGというのは、絵を描くのではなく写真を撮るのと同じようなものです。作ったオブジェクトを配置して光源を設定、カメラ位置を指定し撮影します。ゲームのプレイ画面の場合これをリアルタイムで繰り返し、その場で映像を生成していくためマシンパワーが足りず、多くの場合影の処理等を真面目に行わず省き、テクスチャー等でごまかしています(ゲーム機のプログラム技術の熟成とは多くはそのごまかし技術の進歩です)。
セルシェーディングとは、撮影した映像の陰影の割合で色をベタ塗りすることと、輪郭線にあたる部分を生成していく処理の組み合わせというこになります。

で、計算によって映像を作り出していくため、自分の意図したとおりにならないことが多いのです。特にセルシェーディングでは陰影割合によってベタ塗りする色が決められるため、モデリング形状や動かした際のちょっとしたポリゴンのゆがみなどで、意図しないところに色の段差が出来てしまうことが多い。ケロロ軍曹のエンディングなんか見てわかるとおり、たかだか丸い物体でも綺麗に影が出来ていない。これは輪郭線も同じです。

そして、漫画、アニメともにある一つの問題点「絵が立体として成立していない」という問題。前、斜め、横で、髪型や目の見え方や鼻の高さ等、整合性が取れていない2Dの絵を3Dに起こすと、全ての面で綺麗な日本アニメ調陰影を出すことなど不可能な形状になってしまうのです。各角度の見た目重視モデリングと言う手もありますが、そうなると3DCG最大の意義である、動きとカメラワークが失われる。

もう一つの利点で服や髪の毛を演算で自然に動かせると言うことですが、日本風アニメの動きのキモは自然ではなく不自然であるため、自然な動きでは逆に綺麗に見えないと言う矛盾した点です。動きといえば、日本アニメは予算の関係から中割りを削ったために(偶然)生まれたスピード感というのもウリです。セルシェーダーを使って下手に滑らかに動かすと、そういうところは失われる。ハルヒのエンディングが滑らかだったら、気持ち悪い動きになっているかも。



結局、3Dと相性の良いメカは3Dでも、人物(特に顔)を3D化したセルシェーディング3DCGアニメというのはほとんど作られていません。アップルシードは確かに素晴らしかった。映像で感動した!!。でも、現状ベストなのは人物は2D、メカや背景は3D。いまだにセルシェーディングを使用したアニメで、サクラ大戦3のゲーム内デモ(メカ+背景3Dセルシェーディング、人物2D)を超えるインパクトのものが無いのは悲しい限りです。今後の技術で解決される物なのでしょうか。もし鈴宮ハルヒエンディングクラスのアニメ的に自然な、3DCG的に不自然な3DCG映像が作れる時代が来るのなら、3D化する価値はまた大きく出てくるでしょう。



魔法先生ネギま!TVアニメ2期が発表されたようですが、バトルやるなら漫画版ネギま!と同じく、背景だけCGというのもアリかもしてませんね。アニメ特有のバトルになると背景効果線のみとかではなく、背景つきで動き回って欲しいかも。



APPLESEED [DVD]

APPLESEED [DVD]

人物も含めすべて3D化したアニメ。メカなんかスバラシイし、日本風アニメのテンポの良さも損なわず動きも良い(モーションキャプチャー使用)。ただ、人物3Dセルシェーディング(特に顔)がまだまだ厳しいという現実も見られます。


サクラ大戦3 ~巴里は燃えているか~

サクラ大戦3 ~巴里は燃えているか~

日本のアニメシーンに衝撃を与えたのはゲームのOP。カメラワークと動きで3DCGアニメの魅力を見せ付けられました。ゲームとしても今見ても遜色なく、最高レベルの面白さ。オススメ。